毎年参戦している全日本ラリー選手権「新城ラリー」ですが、今年は事情により欠場となりました。
休暇は取ってしまったし、ただ家でリザルトをチェックしているのも切ないし、最終戦なのでライバルの来年の動向も気になるし、、、ということで、いつもお世話になる一方のオフィシャルの皆さんのお手伝いをさせていただこうと考え、今年も愛知県「奥三河」新城市まで行ってきました。
配置は名物ギャラリーステージ「ほうらいせん」のコースオフィシャルです。ギャラリーポイント「D」と呼ばれる、一般の方が入れる一番奥のコーナー担当でした。
よくYouTube等に上がっているヘアピンは、実は選手にとってはあまり「見て欲しいポイント」ではありません。リスクが非常に高いので安全第一で、魅せる走りをする余裕はありません。私もいつも「皆さんゴメンナサイ」と思いながら、消極的でつまらない走りをしてしまいます。
しかしこの「D」ポイントは違います。ストレートとストレートを繋ぐ緩いコーナーで、選手はここを、如何に速度を殺さずに加速して抜けられるか、ということを念頭に走っています。タイムにも大きく影響するし、路面も滑り、道幅も狭いため、決して手を抜くことはできません。ぜひ皆さんに「見て欲しいポイント」です。
実際ここでは過去にチャンピオンのかかった明治シンタロー選手や新型フィットで最初で最後のラリーシーズンを走った島田選手が、攻めた挙句、転落リタイヤしています。
ただし、このポイントはギャラリーの皆さんにとっては過酷です。一度コースクローズになってしまうと、終わるまで出ることはできません。ぬかるんだ険しい山道を延々歩くことになってしまいます。ちょっとした登山です。ヘビも出ます。したがって、このポイントには二日間でのべ100人ほど、2万人の観客動員を誇る新城ラリーにしては少ない、しかしかなりディープなラリーファン達だけが入ってくれました。
一応、せっかくオフィシャル無線もありハンドマイクもありましたので、ディープなラリーファンに少しでも楽しんでいただこうと、主催者に頼まれてはいませんが、勝手に放談解説をすることにしました(笑)。
コースについて、走りのポイント、マシンについて、タイヤについて、理想的なラインは?、ペースノートについて、ラリー開催の苦労や素晴らしさ、そして選手達のあだ名やキャラクター、果ては勤務先や学歴等の個人情報まで(笑)、勝手に放談解説してきました。
そのうち、一台通り過ぎるごとに解説を求めて皆さんが私の顔を見るようになるほどの一体感ができて、こちらもとても楽しめました。
果たしてここには初っ端のDAY1のSS3から、間違いなく楽しめるコンテンツが用意されていました。まずはカーナンバー1の勝田選手、2の奴田原選手、4の福永選手が相次いでコースアウトしかかり、アウト側の斜面にマシンを半分落としながら通過していきました。ギャラリーの皆さんも「おぉー!」といきなり度肝を抜かされ、期待感が高まります(笑)。そしてついにカーナンバー23、インドネシアから参戦のリファット選手がコースアウト、転落リタイヤしました!
皆さん立ち上がって大喜び
もちろん乗員は怪我なく無事でした
DAY2ではさらに上を行くコンテンツが。まずは朝イチのSS7、総合7番手=FF勢のトップで現れた明治シンタロー選手、なんとバックでわれわれの前に現れました!そしてわれわれの目の前のグラベルを利用してマシンを切り返し、颯爽と去っていきました。手前のコーナーでスピンした模様ですが、ここまでバックで来て切り返すなんて、私にはとてもそんな発想は生まれません!!ギャラリーの皆さんもビックリされていました。
そして最後のSS10、序盤のJN-4勢は各選手慎重に走っていましたが、FFの後半クラスになると攻めた走りをする選手が増え、コーナー出口のアウト側でコントロールを乱すマシンが多くなってきました。そこで私が「ちょっとこっちが面白そうですよ」と皆さんに出口側に集まってもらったそのタイミングで、山梨の依田選手のインテグラがコースアウト→転落→転倒1回転半と、これ以上ないコンテンツを提供してくれました!
ただしオフィシャルとしては面白がってはおられず乗員の無事をいち早く確認したかったのですが、選手達が脱出する前に、1分後にスタートした群馬の藤田夫妻のコルトがなんと同じ場所に転落! これにはかなりヒヤッとさせられました。藤田夫妻はすぐに車外に出られたのですが、下に依田インテグラがあることに気がついてはいませんでした。依田インテグラにはクルーがまだ閉じ込められたまま、そしてコルトもただ土の上で引っかかってるだけで今にもさらに下に転落しそう。危険な状況なのでスタートを止めレスキューとドクターの出動を依頼、すぐに乗員が怪我なく無事であることを確認できました。
新城ラリーを含め、全日本ラリーの主催者は安全に対する意識や準備が非常に高いレベルに保たれているため、こうしたアクシデントが起きても必ず適切で迅速な行動や処置が行われます。全てのコースにはドクターが配置され、無線等で本部との連絡体制が整えられており、大きなアクシデントが発生した際にもどこでどのように地域の救急・消防と連携しどの病院へ搬送するのか等、全てマニュアル化され準備されています。選手達も安心して、勝負に集中することができます。大変有り難いことです。
さて、その後は併催のVitzラリーも含め、つつがなく進行。コースクリアは炭山裕矢選手のデモランだったのですが、ここのギャラリーの皆さんがいち早く見たいのはデモランなどよりこの落ちた2台(笑)。コースオープンとともに皆さん記念撮影や選手達との会話を楽しんでおられました。
「D」ポイントにいらしたギャラリーの皆さん、楽しんでいただけましたか? 既に皆さんには来年、ALEX・KYBインテグラの加納の応援をしてくださるよう約束していただいております(笑)。
まだまだお伝えしたいこと、解説したいことがあったのですがそれはまたの機会に。ぜひまた来年、新城ラリーでお会いしましょう!
posted by Kano
posted by RLightUpRallyTeam at 23:08|
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